“感覚”が鈍っているチェックリスト
最近、こんなことはありませんか?
□休んでも疲れが抜けない
□眠っても頭が休まらない
□呼吸が浅く、胸のあたりがつまる
□「何をしたいのか」「何が好きか」が分からない
□なんとなく不安、でも原因がはっきりしない
□SNSを見たあと、どっと疲れている
□仕事中や食事中も、ついスマホを触ってしまう
□誰かの意見にすぐ影響される
□頭では理解しているのに、体が動かない
これらが当てはまるとき、あなたの「感覚のセンサー」が少し鈍っているかもしれません。
特に「原因が分からない不調」が続く人ほど、身体からのサインを“思考”でかき消している可能性があります。
現代で「感覚」が失われる理由

感覚とは、
「今この瞬間、自分の体や心がどう感じているかを正確に受け取る力」です。
しかし、現代の生活はその感度を鈍らせる要素であふれています。
常に“考えすぎて”いるから
SNSや仕事では、
「次は何をすべきか」「他人にどう見られるか」など、
意識が常に未来や他者へ向かっています。
その結果、意識は頭部に集中し、
心臓の鼓動や呼吸の深さ、筋肉の張りといった
体の内側の感覚を感じにくくなります。
→ 結果として「呼吸が浅い」「肩や腰が常に緊張している」「今ここにいられない」状態に。
身体があるのに、“頭の中だけで生きている”ような感覚になります。
デジタル刺激で神経が麻痺しているから
スマホやPCは、光・音・振動といった“人工的な刺激”を
脳に絶えず送り続けています。
この状態では脳が交感神経優位(常に興奮状態)になります。
神経系は過剰な刺激を避けるため、
細やかな体の感覚を“ノイズ”として遮断してしまうのです。
→ 結果:「呼吸筋(胸郭・横隔膜)が固まる」「骨盤や足裏の感覚が鈍くなる」「画面の中の世界の方がリアルに感じる」
──こうして“体のリアル”が薄れていきます。
体を感じない生活姿勢
長時間のデスクワークや運動不足により、
筋肉や関節の動きが減ると、体を感じ取る“センサー”が働かなくなります。
→ 結果:「動きの鈍さ」「姿勢の崩れ」「だるさや重さ」「感情の乏しさ」などが現れます。
体を動かさない時間が長いほど、感覚の回路も眠ってしまうのです。
年齢による感覚鈍麻
年齢が上がるにつれて、普段使わない感覚はますます鈍くなっていきます。
そのため、からだの異変に気づきくい状態が生まれます。
感覚が戻ると、何が変わるのか

感覚のセンサーが目を覚ますと、見え方が変わります。
- 「やるべきこと」より「やりたいこと」が分かる
- 体のサイン(疲れ・緊張)をすぐに察知できる
- 気持ちを自然に感じ取れる
- 焦りや不安に気づき、落ち着いて行動できる
- 「なんとなくこれが心地いい」に素直になれる
感覚とは、いわば生命のナビゲーションシステムです。
これが働かないと、地図を見ながら歩いていても「今どこにいるか分からない」ような状態になります。
感覚を取り戻すステップ

“小さな違和感”に気づく
感覚を取り戻す第一歩は、「感じよう」と努力することではありません。
すでに感じているのに“無視している”サインに気づくことです。
たとえば――
- 軽い肩こりや腰痛を無視し続けている
- 疲れているのに仕事を続けてしまう
- 人と話すとき、肩や首がこわばる
- 眠いのにスマホをいじってしまう
これらはすべて、体からの小さなメッセージです。
「今は少し休もう」と、体は素直な反応を見せています。
感覚を取り戻すとは、この声に“気づいてあげる”ことから始まります。
「止まる勇気」を持つ
現代は「動き続けることが正義」の社会。
通知、情報、タスク、SNS…どれも止まることを許してくれません。
しかし、感覚は“静止の中”でしか育ちません。
思考は動的なエネルギーですが、感覚は静的なエネルギーです。
1日の中で「無音の時間」を3分だけつくりましょう。
3分だけスマホを遠ざけ、音も止め、ただ座ってみる。
最初は落ち着かなくても大丈夫。
それは「思考のクセ」が浮かび上がっている証拠です。
呼吸を「整える」より「観察する」
「深呼吸しよう」と意識的に操作するのではなく、
まずは今の呼吸を“観察”してみてください。
- 吸うとき、胸とお腹どちらが動いているか?
- 吐くとき、肩が持ち上がっていないか?
- 呼吸のスピードは速い?遅い?
- 首に無駄な力入ってない?
呼吸を観察すると、体は自ら整おうとします。
無理に変えなくても、“気づくこと”が調整なのです。
動作を「ひとつずつ感じる」
立つ、歩く、座る、手を伸ばす、ご飯を食べる──
私たちは日常の動きを“考えずにこなす”クセがあります。
例えば、立ち上がる時の動きをここで一度、分解してみましょう。
- 足裏のどこに体重がかかるか
- 重心がどの方向に移動しているか
- 脚や背中のどこが先に動くか
大事になるのは「座ると立つの間」。座っている時と立っている時は意識が向きやすいですが、その途中の動きには意識がいきにくいことが分かると思います。
スタート(座る)とゴール(立つ)しか見えていないと、”0か100かの二元論”の思考に偏り、それこそが感覚が鈍る要因となります。
論理的な思考をする人ほど、感覚がおざなりになる原因はここにあります。
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立ち座りも例にしながら、からだの感覚についての解説を一部しています。体だけでなく、心の感覚に関しても参考になった読んでよかった書籍です。
自然の中で「何もしない時間」を持つ
木のざわめき、鳥の声、風の感触、土の匂い──
自然には人の神経を調律する“周波数”があります。
森や海、公園などで”深く呼吸”をして、ただ五感を開きましょう。
「風が触れた」「光があたたかい」「鳥が鳴いている」だけを感じる。
不思議なことに、感覚が鈍い(不安や焦りなど)時は、風や光などを全く感じません(感じる余裕がない)。
一方、感覚が開いている時は聴覚や味覚などが研ぎ澄まているため“今ここ”に戻ります。
自然のリズムは、私たちが忘れかけている本来のテンポです。
「頭で感じよう」としない
感覚を取り戻そうとすると、
「どうすれば感じられる?」「これで合ってる?」と考えてしまいます。
けれど、それはもう“思考”です。
「よく分からないけど心地いい」
「なんか嫌な感じがする」
その“なんか”を信じてみてください。
感じるとは、理由のない世界に戻ること。
頭で意味づけをせず、ただ“体と空間”で生きる時間を少しずつ増やしていきましょう。


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