子どものように心が戻る力|安心と好奇心がつくるメンタルの「正のループ」のつくり方

メンタル編

泣いて、笑って、また遊ぶ。

そんな日々が当たり前だった頃の自分をふと思い出すことはありませんか?

子どもはいつも元気で、失敗してもすぐ立ち直ります。
一方で、大人になると「間違えたくない」「うまくやらなきゃ」と思うほど、心も体も重くなっていきます。
その違いの正体は、“心の循環”にあります。

一度落ち込んでも、気づけばまた笑っている。そんな回復のサイクルをここでは「正のループ」と呼びます。

この記事では、子どもの心の仕組みをやさしく解説し、大人がそのリズムを取り戻すための具体的な方法を紹介します。

子どもの行動が止まらないメカニズム

子どもが物怖じせずに動けるのは、感情や思考よりも行動が先に出る脳の仕組みがあるからです。

子どもの脳は「失敗したらどうしよう」「怒られるかも」といったブレーキが少ない状態です。そのため、思考よりも感覚や好奇心の方が強く働き、行動がスムーズにつながります。

そして、動いた結果を体験として学ぶのが子どもの特徴です。
頭で考えるより、体で感じて理解する。だからこそ、失敗も経験として自然に吸収できるのです。

子どもの自然な正の循環

子どもが自然に持っているのは正の循環です。

1.内側からの衝動(好奇心・欲求)
 気になる、触ってみたい、動きたい—内発的なエネルギー。
2.行動に移す(体験)
 考えるより先に動く。失敗も遊びの一部。
3.感覚を得る(フィードバック)
 うまくいった・いかないより、「こうするとこうなるんだ」という体感。
4.気づきや学びが生まれる(理解)
 結果を評価せず、感覚的に世界とのつながりを掴む。
5.新たな好奇心が湧く(次の動き)
 「もっと」「次はこうしてみよう」と自然に次の行動が生まれる。
*繰り返し

この流れが自然に循環していると、
脳内のドーパミン・セロトニン・オキシトシン(安心幸福ホルモン)のバランスが良いです。

恐れからの負の循環

一方、負のループに入るとどうなるのでしょうか。

大人になると、社会で生きる中で「間違いは悪い」「ちゃんとしなきゃ」「○○するべき」「○○しなければ」という考えが強化されがちです。

本来の「好奇心から動く」流れが、否定的な経験によって「防衛から動く」流れに変わるとき、心は次のように循環します。

1.否定的な反応を受ける/想像する
ちょっとした指摘や表情の変化にも「否定された」と感じてしまう。
 たとえ現実に怒られていなくても、頭の中で否定の声が再生される。
2.失敗が怖くなる
「また責められるかもしれない」と思うほど、行動のハードルが高くなる。
3.やらない選択をする
 本当はやってみたいのに、「今はいいや」「向いてないし」と自分を納得させる。
4.どうせやっても自分にはできないと思う
 「やらなかった結果」が「できない自分」という誤った確信を強めます。本来の可能性よりも“自己評価”が先に下がってしまうのです。
5.自信がなくなる/自己否定が強まる
 できないと思うほど、ますます動けなくなり、さらに自己否定が強まる。このサイクルが続くと、何をしても楽しめなくなってしまいます。

この状態では、行動するほどに「怖さ」が強化されてしまい、好奇心のエネルギーが閉じ込められていきます。
恐れが強くなると、その自然な成長の循環が止まってしまうのです。

【正のループ】些細なことでも楽しめるようになるには?

感情を否定せず瞬時に表現している

ついさっきまで泣いていたのに、今は笑っている。
落ち込む時や怒る時があっても、受け入れと切り替えが早い。
さっきはさっき、今は今なのです。

感情をためずに瞬時に出すほど、すぐ正のループに入るのです。
本来感情は一時的なものですが、ずっと吐き出せず表現しないと頭の中で思考していると、知らず知らずに心の疲弊が積もってしまいます。

すぐ表現できない場合もあると思います。その時は、ノートに感情を書いたり、友達に話したりして感情を表現することが大事になってきます。

安心できる環境をつくる

人は安心できる環境や状態でないとパフォーマンスが落ちます。
安心を感じると、副交感神経が優位になり、心のエネルギーが自然に循環します。
一方、安心感がない状態では、常に交感神経が優位(常に興奮状態)となり心と体力の消耗が激しくなります。
無理にポジティブにならず、まず「ここにいていい」と感じられる時間を持ちましょう。

一人の時間をつくったり、落ち着ける場所へ移動したりしてみましょう。

“できた”より“やってみた”を評価する

大人になると結果やできたことを評価されるようになりますが、子供の頃はどうだったでしょうか。「試したこと・やってみること」そのものが、脳の報酬系を活性化させます。
これが次の行動意欲(ドーパミン分泌)につながります。

“正しさ”より“楽しさ”を選ぶ

子どものように生きるとは、「間違いを恐れず、楽しみながら動く」ということ。
楽しさは、心の栄養であり、自然治癒力を高める最高のエネルギーです。

比較・他人軸を手放す

現代ではSNSにより他人と比較しやすい状態にあります。他人と比べるほど、自分の中の好奇心は萎んでいきます。
「他人がどうであるか・どう感じているか」の前に、「自分がどうであるか・どう感じているか」に焦点を当ててみましょう。

まとめ

心の循環が整うと、外側の出来事に振り回されにくくなります。
大切なのは、“良い自分”を目指すことではなく、心が自然に動く方向を信じて動いてみること。

コメント